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『沈黙しない春』TALK with 野村浩輔さん(後)
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    (前)からの続き


    杉岡太樹監督(以下、監):野村さんは
    集団訴訟の準備をしているということですが、それは誰に対して何を求めているんですか?

    野村浩輔さん(以下、野):東電に対して自主避難者への賠償、です。去年の11月に東電から指針が出たんですが、それに基づいての賠償になると憤りを感じるような金額なんです、一律8万円とか。

    監:だけ?事故から今まで、全期間を通して?

    野:そうですね。あとは個別に請求してください、ということなんですが、それがほとんど通らないということを聞いたので。

    監:なるほど。

    野:請求の仕方などのノウハウもない中で個人で戦うのは厳しいかなと思って、大阪の弁護士会の方に相談したら「集団訴訟というのを考えています。野村さんもどうですか?」という話を頂いたので。自分の周りにも自主避難者は結構いるので、彼らを集めて

    監:避難指示区域外に住んでいて避難された方々を集めて東電を提訴する、と。

    野:それを東京でなく大阪でやろう、ということです。今までは提訴となると東京でやらなければ、だったんですが、大阪でやれば違った判例が出るんじゃないか、と思って。東京と大阪では自主避難者への心証も違うんではないか、と。

    監:今まさに進行形なんですよね?どういう状況ですか?

    野:あんまり芳しくはないですね。私たちの求めが通ってしまうと、大多数の人に応じなければいけなくなるので

    監:前例を作る訳にはいかない、と。

    野:そうですね。和解を提示されているんですが、金額うんぬんの前にまず「賠償には応じますから、話を大きくしないでくれ」と。それが東電さんのやり方ですよ。

    監:じゃあ大きくしたいですね!(笑)でも、提訴のプロセスは問題ないんですか?今度は弁護士会にピエロとして扱われてる可能性はないんですか?

    野:いや、正直なことを言えば、今回は逆です。相手をピエロにしてる気持ちです。

    監:弁護士会の方を?

    野:はい。それが一年半、監督や「プロ市民」の方と知り合ったおかげで身に付いたスキルですかね。

    監:今回はやられないぞ、と。

    野:バカなフリしてます(笑)。


    監:
    最近福島に帰ったのはいつですか?

    野:8月20日かな?

    監:いわきはどうでした?町の状況は。

    野:法事で帰ったのであまり見れてないんですが、至って普通でしたよ。

    監:生活は以前のように戻ってるんですか?

    野:むしろ前より活気づいてるようなところもありましたね。夜の街とか。

    監:色町ってことですか?

    野:そういうことですね。作業員の方とかがたくさんいるので。地元の人から聞いた話では、移住してきた人が7000人とか。

    監:それは興味深いですね。

    野:ただ、昼間はやっぱり閑散としてるというか、今までは生活の中に女子高生とか、女子大生の笑い声とか、

    監:女の子のことばっかりじゃないですか。

    野:(笑)いや、そういうキャッキャした声がなくなった、っていうのは...。

    監:若い子がいなくなった、ってことですか?外に出なくなってる、とか?

    野:たぶん移住でしょうね、自分の周りにいた同じ年齢層の半分くらいは移住してます

    監:え、本当ですか?いわき市で?

    野:県内で引っ越しているかもしれませんが。

    監:元々住んでいた若い人が減って、作業員の方が増えている、と?

    野:そういう感じです。

    監:それも複雑ですね。


    監:野村さんに質問がある方はいますか?なんでも答えてくれると思います(笑)。

    質問(以下、質):映画の中でもそういうシーンがありましたが、今は大阪にいて仕事はどうされてるんですか?

    野:正直、仕事については、なかなか地に足がつけていないというのが現実です。働くことは働いているのですが、以前のように固定職につくのは当分できないか、と。

    質:前の職場は辞められたんですか?

    野:辞めました。

    質:転勤とかできなかったんですか?

    野:そこは一番辛い質問なんですが、避難をしたのが地震当日の夜なので、「なぜ逃げる必要があったのか」ということを誰にも理解頂けないというか、自分も「逃げなきゃいけない理由」を説明しきれないところもありまして、結局、懲戒という形になりました。

    質:それは例えば、時間を追ってでも避難命令が出ていれば、状況も違ったことになったかもしれない?

    野:そうですね。当時は「同心円で」という考え方があったので、そうではなく風向きなどを考慮して危険性を見るということがあの時あれば、もう少し理解を得られたかもしれません。今思ってもあの「同心円」っていうのはなんだったんだろうと思いますね。

    質:事故が起きる前から原発の危険性に対する認識はあったんですか?

    野:そうですね、東海村JCOの事故がありましたし、自分は物理を専攻していたので原子力というものを多少はかじっていたので、他の人に比べればあったと思います。なので、人よりも避難が早かったというのはあると思います。


    質:福島に残っている方っていうのは、「行くアテもなく仕方ない」ということで残っている人が多いんでしょうか?

    野:私が知っている限りでは、「慣れちゃった」という人が多いですね。一度避難して、何ヶ月か過ごした後に金銭的に体力が尽きて戻る人もいるし、諦めというよりは「やっぱり地元が好き」ということでこんなものに負けるか、と戻る人もいるし。様々だと思います。


    質:避難直後に取材を受けることが多かったと思いますが、マスコミに対する不満はありましたか?

    野:はい、大阪に避難してきた頃、同じような境遇の方々に対してメディアを通して自助グループ結成の呼びかけをしたいと思ったんですが、あまり関心を持たれなかったということがあって、

    監:え、それはしょうがないんじゃないですか?興味を持たれなかった、ということで。

    野:いや、でも、後になって原発の問題が大きくなったら報じてましたけど。自分が動いていた去年4月の時点では全然相手にされなかったんです。

    監:つまり、
    メディアの動きが遅い、と?

    野:ソコですね、情報を仕入れるのも遅いし、出すのも遅い

    監:精査しなければいけない、っていうのはあると思いますが。

    野:はい、でもその辺に違和感はありました。「なんでこの情報がいまさら出てくるんだろう」みたいなことが多くて。あとは、西と東で報道の中身が全然違ったり

    監:そんなのありましたか?

    野:はい、西の方がコメントがリアルでしたね。東はすご〜くやんわりとしてましたね、三号機の事故にしてもなんでも。西はむしろ「危ないんじゃないか」と誇張してる部分があるくらいで。

    監:それって、同じ日に読み比べたんですか?(笑)

    野:はい、同じ新聞社の東京版と大阪版と。「なんでこんな違うんだろうね、どっち信じる?」と嫁と話してました。

    監:どっちを信じたんですか?

    野:大阪の方を

    監:なんで?

    野:客観的なので。

    監:客観的だってどうしてわかるんですか?

    野:他人事のようなトーンだったんで。

    監:(笑)そんなもんスかね...。


    (了)*このトークセッションは2012年9月9日に行われました。



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